もし転勤の辞令を受けたら、転職と悩む方もいるでしょう。
今回は転勤によって企業と働き手のそれぞれの立場から、得られるメリットと生じがちなデメリットを解説していきます。
目次
転勤と転職
転勤は、これまで積み上げてきたキャリアをある程度は残した状態で、新しい環境や職務にあたります。
基本的には同じ会社内での話となるので、場所は変わっても所属会社が変わるケースは少ないです。
同じ企業内でのこれまでの実績が後ろ盾となるため、比較的新たな環境へのチャレンジをしやすい状況を作りやすいといえます。
転職という手段を選択した場合でも、同じ職種や業界を選ぶことで、前職までの実績を評価してもらうことは可能です。
ただし、新たな企業で、これまでとは異なる環境や評価制度のもとで就労するため、その慣習に慣れる段階からスタートする必要があります。
転勤で働き手が得られるメリット
ここからは、転勤で働き手が得られるメリットを紹介していきます。
企業が得られるメリットと働き手が手にするメリットを整理することで、前向きな気持ちで新たな環境に飛び込んでいけるでしょう。
新しい発見ができる
転勤先で新しい発見ができることが、転勤によって働き手が得られる1つ目のメリットです。
特に、それなりの実績を積み上げてきた中堅のビジネスパーソンにとっては、違う場所・違う環境で新しい発見ができる貴重な機会となるでしょう。
1つの企業でキャリアを形成する意思の有無にもよりますが、同じ企業の同じ仕事でも、場所やエリアによって異なる価値観や慣習があると理解している人材は社内で非常に価値が高いといえます。
営業として実績を積み上げ、責任者のポストに着くような状況になった時に、部下がどのような精神状態にあるのかなど小さな気遣いをおこなえるようになるでしょう。
新たな環境でチャレンジできる
転勤によって働き手が手にできる2つ目のメリットが、新たな環境でチャレンジができることです。
営業職を例に挙げると、ビジネスパーソンが同じ取り組みをしていても、場所やエリア、人間関係の変化によって大きな結果を創出できるケースも珍しくありません。
新たな環境のみが結果をつくる要因ではありませんが、心機一転することで、見違えるように結果を出せることがあるのです。
このように、新たな環境でチャレンジをできるのは、転勤によって働き手が得られる大きな利点といえるでしょう。
リスク少なく環境を変えられる
転勤によって働き手が得られる3つ目のメリットが、リスクを少なく抑えて環境を変えられることです。
日本特有の文化ともいえますが、学校や部活を変え、新しい環境に飛び込むのは学生までであり、社会人になってから住居や仕事を変えるためにはそれなりのリスクが伴います。
そして、自身が感じている問題を解決するために、リスクを覚悟のうえで選択される手段が転職です。
もちろん、転職によって自分らしい働き方を手にしている方もいますが、その選択の正しさは働き始めてからしかわかりません。
その一方で、同じ組織のなかで新たな環境に挑戦できる転勤は、リスクを軽減できる手段と言えます。
これから紹介するデメリットは存在しますが、転職と比較するとそのリスクは小さいといえるでしょう。
転勤で企業が得られるメリット
ここからは転勤によって、企業が得られるメリットを紹介していきます。
企業はこれから紹介する「組織を活性化できる」、「人員の偏りを整えられる」といった効果を見込み、多くのケースで、人員の再配置をおこなうために転勤という手段を採用します。
組織を活性化できる
転勤によって企業が得られる1つ目のメリットが、組織を活性化できることです。
特に全国各地に営業所を構えるような大企業では、日々の業務がルーティーンとなり、従業員のやりがいやモチベーションの維持のために転勤という手段を選択することも珍しくありません。
転勤は、ジョブローテーションの意味を持つだけでなく、組織に新たな価値観や考え方を取り入れ組織を活性化するための施策ともいえます。
具体的な例をあげると、人事としての実績をもつ人物を営業として転勤させることで、営業部は少なからず受け入れるための工夫が求められるでしょう。
このように、転勤によって人員や仕事そのものに変化を加え、組織に何かしらの影響を生むことが、企業が得られるメリットの1つです。
人員の偏りを整えられる
転勤によって企業が得られる2つ目のメリットが、人員の偏りを整えられることです。
企業によって理想とする人員配置は異なりますが、責任者が管理できる人員の数には限界があります。
また、組織の機能を高める目的で、新しいポジションやジョブを設け、ポストの重なりを解消するために転勤という手段が採用されるケースも少なくありません。
企業は人間関係のトラブルを含め、ジョブやポストの重なりといった問題を解消するために、転勤という手段を採用します。
転勤で働き手に生じるデメリット
最後に、転勤によって働き手に生じるデメリットを解説していきます。
メリットの多い転勤ではありますが、デメリットがあることを理解し、自分が選択すべきアクションを冷静に見極めていきましょう。
将来設計を考え直す必要が生まれる
転勤によって働き手に生じる1つ目のデメリットが、将来設計を考え直す必要が生まれるというものです。
特に結婚と家の購入は、転勤者が頭を悩ませがちな大きなポイントといえます。
すでに結婚や家の購入が済んでいれば、単身赴任にするか、家を手放すかといったように選択肢を具体化することができますが、
転勤をすべきかどうかに頭を悩ませている状態では最終的な決断がおこなえない状態に陥りがちです。
そのため転勤を選択するのであれば、結婚や家の購入を考えるのは後といったように、優先順位を明確にした上で、決断をしていくことが重要です。
仕事よりも結婚が優先であると決めることができれば、転勤という選択をしない理由を明確にできるでしょう。
新天地に合わせた施策を用意する必要がある
新天地に合わせた施策を用意する必要があることも、転勤によって働き手に生じるデメリットです。
営業職を例に挙げると、そのエリアに合わせた営業手法を、新たに用意しなければなりません。
扱う商材に影響されるポイントではありますが、住宅であればその土地の地価、接客業であれば来店されるお客様の属性といったように、
成績を残すためにはエリアの特性をしっかりと理解した対策が求められます。
また、新天地での活動になれるまでに、それなりの精神的負荷を覚悟しておくことも転勤前に把握しておくべきポイントといえます。
先ほども触れたように、新たな環境で成績を作り上げるための施策を考えながら、変化した人間関係や私生活に慣れるというストレス管理をおこなう必要があるわけです。
転勤で企業に生じるデメリット
企業が負担するデメリットもあります。
ここからは「配置換え前後の負担」、「転勤先にマッチしないリスク」の2つのデメリットを解説していきます。
配置換え前後の負担が大きい
転勤によって企業に生じる1つ目のデメリットが、配置換え前後の負担が大きいことです。
先ほど触れたように、人員の偏りをならせるという利点がある一方で、組織が機能し始めるまでにはそれなりの時間と労力を要します。
業務の分担といったハード面だけでなく、転勤者の精神的なケアといったソフト面にまで気を配らなければならない点には注意が必要です。
転勤者の特性によることは事実ですが、住む場所やエリアが大きく変化する転勤では、精神状態に配慮した研修など、受け入れ側にルーティーン以外の負荷が生じます。
転勤先にマッチしないリスクがある
勤務先にマッチしないリスクがあることも、転勤によって企業に生じるデメリットの1つです。
もちろん、もともとの上司が転勤者の人となりを把握したうえで、新たな環境にマッチするかどうかを推測することは可能です。
ただし、実際に働き始めてから、組織が思うように機能しない、組織にうまく馴染まないといった問題が発生することも珍しくありません。
また、一度転勤させてしまうと、すぐに呼び戻すことができないという板挟み状態に陥ることも事前に把握しておきたいポイントといえます。
決定権が企業にあることはまぎれもない事実ですが、転職者や同じ部署の従業員に対する、それなりの理由を説明する必要があることも把握しておきましょう。
【まとめ】転勤のメリットとデメリットを理解したキャリア設計を考えよう
転勤と転職を比較してみると、これまでに積み上げてきたキャリアを継続できるかどうかが大きな違いといえます。
もちろん、転職を選択したからといって、これまでの営業や経験してきた仕事の実績がゼロになってしまうわけではありません。
しかし、企業という同じ組織のなかで働く環境を変えられる転勤と比較すると、実力を証明するために新たに実績を積み上げていかなければならない点に難しさがあるといえるでしょう。
今後のキャリア設計を描きながら、転勤と転職のメリットとデメリットを冷静に見極めることをおすすめします。
転勤するなら転職がしたい!そんな方へ。