昨今のビジネスモデルにおいて、必要性が注目されているLTV。
営業やマーケティングに携わる方の中には、言葉を耳にするけれど内容が把握できていない方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方に向けて、LTVの意味や注目されている理由、そしてLTVを高めるための対策を紹介していきます。
LTVの向上が必要とされている理由を知り、より効率的な対策を講じましょう。
目次
LTV(ライフタイムバリュー)とは?
LTVとは、Life Time Valueの頭文字をとった言葉で、「顧客生涯価値」と呼ばれる概念です。
”生涯”という言葉が入っている通り、一時的な取引による利益ではなく、”取引開始から終了までの間に、ユーザーがどれだけの利益をもたらすか”を指すビジネス用語です。
昨今はビジネスのあり方そのものが大きく変動しており、多くの企業がLTVの必要性を感じています。
元々LTVは、アメリカのマーケティングコンサルタントであるドン・ペパーズとマーサ・ロジャーズの著書「One to Oneマーケティング」により、注目を集めた概念です。
日本での出版が1995年とされているため、ビジネス用語のなかでは新しい考え方といえるでしょう。
LTVに着目すべき理由
ここからは、LTVに着目すべき理由を解説していきます。
先程も触れたように、LTVの概念が1995年に日本に上陸し、ここ数年間で「顧客生涯価値」という言葉が用いられるようになりました。
LTVの具体的な方法を理解する前に、必要とされる理由を大まかに押さえましょう。
新規顧客の獲得が難しくなった
LTVに注目すべき理由の1つが、新規顧客の獲得が難しくなったことです。
言うまでもなく、新規顧客の獲得は企業の利益獲得の第一歩ですが、これが困難になったことで、ビジネスのあり方そのものの変化が求められるようになりました。
人口が増加していた一昔前までは、生み出した商品やサービスを新しい顧客に訴求して利益を創出していました。
しかし、人口が減少傾向にある昨今、マーケットそのものが縮小しているため新規開拓の難易度が上昇しています。
工数や資金の投入による、短期的に利益を拡大させることは可能ですが、マーケットの縮小という課題がクリアになることはありません。
この課題を解決するために、短期間の利益獲得を見据えた方法ではなく、「取引開始から終了まで」という長期的な取引のスパンを目指す手段が取り入れられているのです。
マーケティングのあり方の変化
マーケティングのあり方が変化したことも、LTVという概念に注目が集まっている要因の1つです。
企業の価値を一方的に訴求するマスマーケティングが限界を迎え、近年では双方向のコミュニケーションが可能なOne to Oneマーケティングが主流となりつつあります。
また、ユーザー嗜好の多様化といった課題解決にもOne to Oneマーケティングが適切であると考えられています。
TVCMよりもSNSの方が成果につながる理由は、双方向のコミュニケーションにより、ユーザーが「自分の価値観に合った製品やサービス」と感じるためです。
どうしてもTVCMなどのマスマーケティングよりもOne to Oneマーケティングはコストがかかってしまう為、
コスト以上の利益獲得を行うにはLTVを上げていく必要があります。
このような背景から企業が取引開始から終了までに獲得できる利益に着目しているのです。
情報収集の方法の変化
LTVに注目すべきもう一つの理由が、情報収集の方法が変化したことです。
インターネットの普及により、ユーザーが自ら情報を取得できるようになりました。
時間や労力をかけずに、製品やサービスの情報を集められるようになったのです。
しかし、情報量の増加により、情報の真偽に疑問を抱いているユーザーが増えています。
インターネットに掲載されている情報を確認しても、「吟味している製品やサービスが本当に適切かわからない」という状況に陥ってしまうのです。
顧客は疑心暗鬼の不安定な状態になっているので、他社の商品PRを受けると乗り換えてしまう可能性があります。
乗り換えの危険を回避するには取引開始から終了までのスパンで、信頼関係を確立することが大切です。
仮に取引の期間が短かったとしても、しっかりとした信頼関係を構築しておくことは重要です。
関係性があれば「情報交換が続けられる」ので取引再開のキッカケとして有効です。
LTVを高めるための7つの対策
ここからは、LTVを高めるための対策を紹介していきます。
LTVの概念やその必要性をしっかりと理解したうえで、これから紹介する対策を講じましょう。
それにより、マーケットの縮小などの課題に対する案が見付けられるでしょう。
対策1、LTVを正しく理解する
LTVという概念そのものを正しく理解することが、効果を高めるための1つ目の対策です。
冒頭でも触れたように、LTVとは取引開始から終了までの間に、ユーザーがどれだけの利益をもたらすかに焦点を当てたビジネス用語です。
一般的には、次のような計算方法を用いた効果検証が行われています。
- LTV=顧客1人あたりの年間取引額×収益率×顧客1人あたりの継続年数
例えば、「収益率50%の商材を年間100万円、2年継続して購入してもらえれば、LTVは100万円」となります。
LTVを算出することによって、取引額や受注額が大きければ”LTVが高く良い取引”になるわけではないと分かるでしょう。
なぜLTVを考える必要があるのか、その答えがここにあります。LTVを向上させるほど利益率が向上し、一人一人の意識により企業全体としても高い収益性が見込めるのです。
多くの企業やビジネスパーソンが、1つの取引を拡大させるアップセルやクロスセルといった方法で、購買単価や購買頻度を上げる取り組みを行っています。
その他にもカスタマーサクセス部隊を用意して解約を防止して、継続年数を伸ばす動きが注目されています。
対策2、マーケティングに関する正しい知識を身につける
LTVを高める2つ目の対策が、マーケティングに関する正しい知識を身につけることです。
マーケティングと聞くと、SNSやWEBマーケティング手法が想像されますが、マーケティングとは”ユーザー心理に沿ったアプローチ”を意味します。
そしてLTVを高めるためには適切な「企業と顧客のコミュニケーション」を理解する必要があります。
コミュニケーションにはそれぞれのフェーズにおける目的があり、目的の明確により取引開始から終了までに得られる利益を拡大できます。
対策3インサイドセールスに力を入れる
LTVを高める3つ目の対策が、インサイドセールスに力を入れることです。
インサイドセールスとは、見込み顧客の成約の可能性を見極め適切なアプローチ方法を模索する役割を指します。
営業という言葉には、「直接的なアプローチを行なう」というイメージがありますが、多くの企業がメールや電話を使った非対面でのコミュニケーションに注力しています。
すでにニーズが明らかになっており、成約の可能性が高い見込み顧客を外勤営業が担当し、成約の可能性が低い見込みはインサイドセールスが担当するといった役割分担をすることで、顧客の心理状態に合わせたサポートを提供できます。
その結果が、LTVの向上に繋がります。
対策4、CRMやMAに関するツールを活用する
CRMやMAに関わるツールを活用することも、LTVを高めるための対策の1つです。CRMやMAとは営業を効率化する考え方であり、次のようなツールが開発されています。
- CRM関連ツール:営業活動による顧客情報の一元管理を行うツール。商談の進捗を入力することで、別の担当者が引き継いで対応できる。また、施策に対する結果を入力することで、施策のフィードバックに活用可能。
- MA関連ツール:ユーザーへのアクションを自動化できる営業支援ツール。資料請求や、問い合わせに対するメールの自動送付などアクションを自動で行い、事前設定により商談進捗に合わせた情報発信も可能。
対策5、セット販売を取り入れる
CRMやMAのサポートツールを活用することも、LTVを高めるために企業が取り入れる対策です。
LTVを高めるためには、製品やサービスの単価をあげることが重要ですが、必ずしも単品で売らなければいけない訳ではありません。
「顧客に新たな価値を提供する」名目によるセット販売であれば、LTVと顧客満足の双方を高められる可能性があります。
対策6、顧客のロイヤリティをアップする
LTVを高める7つ目の対策が、顧客のロイヤリティをアップすることです。
顧客のロイヤリティとは、顧客満足度の上位互換です。ブランドや製品、サービスに対する信頼や愛着を指します。
ユーザーに対して、新たな利用価値を提供してロイヤリティを高めることもLTVを向上させるための有効な手段です。
対策7、カスタマーに関する部署との連携を強固にする
LTVを高める最後の対策が、カスタマーに関する部署との連携を強固にすることです。
企業によって取り組みは異なりますが、外部営業やインサイドセールス、カスタマーサクセスなど、顧客の状況に合わせて、担当部署を変えるケースが増加しています。
各部署間の連携を強固にすることで、長期的な利益獲得を見込める体制を整えられます。
【まとめ】LTVを理解して営業活動のブラッシュアップを行おう
変化の激しい市場に対応するために、多くの企業が注目している概念がLTVです。
基本的には取引開始から終了までの間に、ユーザーがどれだけの利益をもたらすかに焦点を当てる考え方です。
今回紹介したように、LTVを高めるためにはツールの活用、セット販売の実施などの対策がありますが、まずはLTVという概念やマーケティングの基礎知識から身につけましょう。
理解したうえでLTVを活用しながら、効果検証による営業活動のブラッシュアップを効率よく進められるでしょう。
LTVを意識して働きたいあなたへ!