皆さんは、CPQ(Configure Price Quote)と呼ばれる営業向けのITツールをご存知でしょうか?
現在コロナによって商談のリードタイムが長くなっている中で、取引時間を大幅に短縮するCPQが脚光を浴びはじめています。
「従来型CPQ」は製造業などの大手企業向けのものが多かったのですが、最近ではベンチャー・スタートアップ企業向けの「クラウドCPQ」が登場してきており、新しい営業の業務改善ツールとして徐々に認知されてきています。
本記事では、業界初のベンチャー・スタートアップ企業向けのクラウドCPQである「スマートディール」を開発する筆者が、営業DXで必須となるクラウドCPQについてまとめました。
目次
CPQ(Configure Price Quote)とは何か?意味は?
CPQとは、サービス設定が煩雑になりがちな企業や、取引スピードや商談サイクルの加速化といった部分で、競合他社との差別化を図りたい企業から注目されているITソリューションのひとつです。
既に米国を中心とする海外では、CPQで1つの大きな市場が形成されるくらい主要な概念でありますが、日本においては徐々に認知が広まってきている段階といえます。
CPQとは「Configure Price Quote」の頭文字を取ったもので、それぞれの3つの単語の意味からなっています。
CPQ
Configure:構成
見積や提案の際の商品作成や商品選択、オプション選択などをスムーズに行うための機能
Price:価格
値引きや金額の上長承認など多様なルールを設定して、顧客にとって最適で正確な見積価格で提案をするための機能
Quote:引用
価格や構成を引用し、見積書、発注書、申込書などを作成。それらを適切でスムーズに管理・運用するための機能
つまりCPQとは、顧客からの要望に基づき、価格提示、見積書などの作成・管理、さらには受注プロセスをシステム化することで、営業活動を効率的にするITツールと言えます。
CPQにより、顧客と営業担当者との間の提案内容や価格認識のプロセスを共有することで透明性が生まれ、認識の不整合が解消されることになり、結果として取引速度の大幅短縮や、提案・受注・請求金額の認識違いや数値間違いをなくすことが出来るようになります。
CPQとは?導入のメリットは?
実際にクラウドCPQツールを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
CPQツールの導入効果の裏付けとして、米B2B企業を専門に扱う調査会社であるAberdeen GroupのCPQにおける調査結果から、2つの大きな提供価値を見ていきます。
1. 営業の業務量を減少=取引量が2倍に
CPQツールを使用している企業は使用していない企業と比べ、販売サイクルを約27%短縮しているといいます。
これは、約2ヶ月かかっていたリードタイムを約1.5ヶ月に短縮できることを意味しています。
また、顧客と営業担当者との無駄なやりとりが削減され、余剰時間が生まれることにより、営業担当者から会社への自発的な発案などが増え営業組織が活性化することなどがわかっています。
このような取引速度の高速化や業務効率化、組織活性化によって、CPQ導入後では導入前と比べて会社全体の取引量がおよそ2倍になるという調査結果が出ています。
2. 商談の失注数が減少=収益や利益を増加
そして調査により明らかになった最も重要な事実は、商談失注数がCPQツールの活用により減少するということです。
このようにCPQ導入のもう1つのメリットは、企業として業務改善を行いつつ収益を上げるという根本的な営業改革を進めることが出来るという点です。
コロナで働き方が多様化し、営業取引の形も変化していく中では、従来のようなコテ先の営業手法的な方法論であったり、働き方を無視した1人あたりの行動数を無理やり増やして売上を上げるというのは、近い未来時代遅れになりつつあるのです。
CPQの導入のデメリットは?
営業改革にとって夢のようなツールに見えるCPQですが、導入するにあたってのデメリットが存在します。
それは中小企業やベンチャー企業にとって、自社に合うCPQツールの選定がまだ難しいということです。
これは「従来型CPQ」が現代の営業取引やビジネスモデルに対応しきれておらず、「クラウドCPQ」を選定することが非常に困難であることが大きな理由となっています。
ここでは「従来型CPQ」と「クラウドCPQ」の特徴と違いをそれぞれ見ていきましょう。
従来型CPQ
「従来型CPQ」は、販売者側の単発取引における時間やコストを節約することが目的のため、基本的には単発取引にあわせたシステム設計となっているのが特徴です。
製造業などの利用が前提だった「従来型CPQ」は、従来のビジネスモデルに沿って設計されているため、月額課金やサブスクリプションといった長期的関係(LTV)を想定したシステム設計がされていない仕様となっています。
しかしながら現在は、月額制やサブスクリプション、利用頻度やマッチング課金など、様々な長期的関係を想定したビジネスモデルがあり、単発の取引を対象とするシステムだけでは十分ではありません。
これに対応すべく開発が進められているのが、現代型CPQと言える「クラウドCPQ」です。
クラウドCPQ
1回限り(単発)の取引しか対象としていなかった「従来型CPQ」と違い、「クラウドCPQ」は月額制やサブスクビジネスに対応する長期的関係(LTV)を想定した機能やシステム思想で設計されています。
そのため、日本の多くの中小企業やベンチャー企業でも比較的導入しやすく、すぐに導入効果を得ることが出来るようになっています。
また「クラウドCPQ」はクラウドツールであることが多く、作成や送付、管理などがオンライン上でスムーズに行え、テレワークやリモートでの業務フローにも対応可能となっています。
例えば「クラウドCPQ」で営業担当者が顧客に提出する書類は、自分でバージョン管理せずとも管理部や法務部門が更新した最新版の書類テンプレートを、オンライン上でスムーズにいつでも利用できるようになります。
更に取引業務をクラウドで一括管理できる「クラウドCPQ」では、価格設定、見積もり、書類、承諾、請求、契約更新などすべてを1つのプラットフォームで管理するため、カスタマーサクセスを意識した価格設定や、新たな営業戦略についての洞察を得ることもできます。
このように営業担当者は、取引の際の事務手続きや業務フローを自動化できるため、小さなミスを削減出来たり、テレワークやオンライン営業でも商談リードタイムを大幅に短縮することができます。
このように長期的関係を維持する必要のあるビジネスでは、「クラウドCPQ」を導入することで大幅な営業改革が期待できるのです。
クラウドCPQがコロナ時代の営業現場で必須になる3つの根拠
「クラウドCPQ」はコロナによって加速したデジタル営業時代において、今後なくてはならない必須ツールになりえます。
経済活動や取引活動がコロナによってデジタル社会へと変化していく中で、営業に大きな影響を与える3つの現実がそれを裏付ける根拠となります。
既に皆さんも日々実感していることもあるかもしれませんが、数値的な裏付けと共に紐解いていきたいと思います。
1.テレワークによって、事務作業が多い営業チームの生産性は低下する
「CPQを導入するメリット」で、CPQが営業の事務作業時間を削減出来ることは述べましたが、コロナ影響下のデジタル営業時代において、営業の事務作業時間の削減は非常に重要です。
「在宅勤務が生産性に及ぼす影響」(英題:The effects of telecommuting on productivity)によると、テレワークは「創造的なタスク」を行う場合には生産性を向上させるものの、「面白味に欠ける(dull)タスク」の場合は生産性が低下することが示されています。
営業で言えば、商談や提案、企画業務などのいわゆる営業活動が「創造的なタスク」です。
逆にデータや文章入力、書類作成、見直し確認作業、ファイルやメールを探しているだけの作業など、いわゆる事務作業が「面白味に欠ける(dull)タスク」にあたります。
また、CRMを世界的に展開する米セールスフォース・ドットコムの調査によると、営業担当者の業務時間の約66%は、書類作成やデータ・文章の入力作業などの事務作業にあたる「営業以外の業務」を行っていると述べています。
このように、実は営業の業務は事務的な仕事が7割近くを占めており、テレワークによって生産性が下がる割合がかなり大きいのです。
つまり「クラウドCPQ」で営業業務を根本的に改善しなければ、非常に生産性が低くなる可能性が高いと言えます。
今後はテレワークやデジタル化が進み「クラウドCPQ」を活用出来るか否かによって、生産性の差が顕著になっていくでしょう。
2. 受注までのリードタイムが長期化している
コロナによって非対面のオンライン商談が一般的になっていることで、受注までのリードタイムが長期化(取引速度が低下)しています。
皆さんも訪問による営業活動が減少し、プレゼンテーションや対面での熱量を込めたクロージングをする機会が減っているのを実感しているのではないでしょうか。
この場合は、顧客の決断意識を早める最後の「後押し」がしにくくなり、検討期間が長引きリードタイムが長期化しているのです。
また、顧客側もリモートワークの状況下では社内稟議に時間がかかり、受注までのリードタイムが伸びてしまう状況です。
このような状況下では、顧客も手続きを簡潔に行えることを意識して開発された「クラウドCPQ」が特に活き、受注までのリードタイムを短縮(取引速度の高速化)することができるでしょう。
3. B2B顧客は、今後更に営業担当者と会話をしなくなる
これは多くの法人営業担当にとって聞き入れたくない話かもしれませんが、事実このような未来はすぐ近くまで迫っています。
米国のリサーチ会社であるForrester Researchによる企業間取引(B2B)の購買担当者に関する調査では、コロナ前の時点で以下のような調査結果を報告しました。
- B2B購買担当者の59%は、できれば営業担当者と話をしたくないと考えている。
- B2B購買担当者の74%は、対面よりWebサイトからの購入の方が便利だと感じている。
現在は法人向けのクラウドサービスやSaaSサービスを中心に、Web上だけで購入までのプロセスが完了するサービスが増えてきました。
その背景には、ITテクノロジーの進歩があります。
例えば、Intercomなどのオンラインコミュニケーションツールや、動画での商品紹介や利用方法の一般公開、インサイドセールスなどの電話完結型営業手法などです。
コロナによってオンライン購入になれたB2B購買担当者は、便利なデジタル化された購入形態に触れる機会が更に増し、上記のような「営業担当と話をしたくないし、Web上で購入完結をしたい」という意識が増していくのは想像に難くないでしょう。
営業活動の中で、以下のようなことを顧客に伝えてませんか?
チェック
「購入の検討をする前に一度問い合わせを必ずしてください」
「サービス価格や見積金額を知るには1時間の対面商談が必須です」
「商談が終わったら後ほど書類をメールで送るので確認してください」
「承認の際は証拠としてメールの返信をしてください」
「実際の申込は紙でお願いします」
購買関係者が多く組織攻略に時間を要するような「大手企業(エンタープライズ)」向けサービスは別かもしれませんが、「中小・ベンチャー企業(SMB)」向けのサービスでこのようなことをやっているのであれば、今すぐ商談プロセスを見直すべきでしょう。
デジタル営業時代では、「クラウドCPQ」を使いこなしてリアル接触を極力避け効率的にクロージングしている競合他社に負けてしまうのは目に見えて明らかなのです。
まとめ|クラウドCPQは営業効率と取引速度を加速させる
今回は営業DXで必須となるCPQについて、基礎知識からメリット・デメリットまでまとめて解説しました。
現在コロナによって商談のリードタイムが長くなっている中で、取引時間を大幅に短縮する「クラウドCPQ」の需要が伸びている背景もご理解頂けたのではないでしょうか。
とはいえ、いきなり高額なCPQを導入するは得策ではありませんし、そもそも方法と目的を履き違えては意味がありません。
「クラウドCPQ」の導入検討は、営業効率化、商談リードタイムの短縮、収益アップなど、目的達成のための手法であると捉えると良いでしょう。
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