昼夜を問わず顧客からかかって来る電話の中で、一番頭が痛いのは「クレーム」ではないでしょうか。
初動の電話応対でつまずくと、ずっと尾を引くので緊張しますよね。
クレームを受けたら、直ちに行動して解決することが一番ですが、現実はそんなに甘くありません。
ひょっとしたら、「顧客の要求」と「会社の事情」との板挟みになって、大変な思いをしていませんか。
世の営業マンで、クレーム処理が好きな人はいないでしょう。
まして、自分のせいじゃないクレーム処理も多々あります。
それでも、矢面に立ってクレームに対処することが営業の役目です。
そして発生したクレームにしっかり対処することが、営業マンとしての成長にもつながります。
この記事では、クレーム処理の重要性とその効果について説明します。
目次
営業が受けるクレーム
クレームと言うと嫌な言葉の代名詞のように思っていませんか。
確かにクレームそのものはマイナスイメージですが、それだけではありません。
そもそも、営業活動をしない所にクレームは発生しません。
あなたがしっかり営業活動をした証なのです。
従って、クレームに真摯に対処すれば、自分にとっても、会社にとっても、プラス効果がとても大きいのです。
クレームとは
クレームには幾つかのタイプがありますので、以下に分類して説明します。
自社に起因するクレーム
自社に起因するクレームには、いくつかパターンがあります。
1つ目は、営業マンとしての対応がクレームになることです。
「アポイントが必要な顧客にアポ無しで面会しようとした」「多忙な時間帯に訪問した」「約束を守らなかった」など、身勝手な営業活動に対するクレーム。
2つ目は、会社の対応がクレームになることがあります。
「電話の応対が横柄で不快だった」「電話をたらい回しにされ、何度も同じ説明をした」「何時に電話しても話し中でつながらない」など、基本的な電話応対に対するクレーム。
最後に、機器の設置をする技術者の態度がクレームになることがあります。
「挨拶や報告がちゃんとできない」「機器設置中に携帯電話ばかり扱っている」「質問してもきちんと応えない」など、ビジネスマナーに対するクレーム。
その他には、購入した商品の不具合や、取扱説明書が不親切などに対するクレームがあります。
顧客が原因のクレーム
顧客が契約時にちゃんと説明を聞かなかったため、実機を前にして話しが違うというクレーム。
もっと良いと思ったとか、もっとできるはずなど、顧客が過度の期待を抱いていたため発生するクレーム。
その他には、商品に対する知識が不足していたり、単なる誤解や勘違いから生まれるクレームなどがあります。
クレーム顧客のタイプ
クレームを言う顧客には幾つかタイプがあります。
感情型
怒りに任せてクレームをぶつけてくるタイプです。
早口でまくしたてたり、無理難題を押し付けたり、責任者を出せと言ったりします。
クレームの内容よりも、口調や態度が感情的・高圧的です。
理論型
理路整然とクレームの原因を話し、企業の対応を求めるタイプです。
いい加減な応対をすると、厳しく追及されます。
場合によっては、マスコミに公表するとか、訴えると言う場合もあります。
消極型
クレームを言うものの、止むをえず言うタイプです。
言い争ったり、しつこくクレームを言うことはありません。
ただし、問題が解決されない限り不満を持ち続けます。
クレームを拡散させない
クレームには多くのバリエーションがあり、顧客も色々なタイプに分かれます。
タイプ別に対処方法はありますが、基本はきちんと謝罪し、顧客の言い分をしっかり受け止め、そして真摯に対応して解決することです。
ここで特に注意すべき点は、決してクレームを拡散させてはならないということです。
インターネット全盛の時代に、お粗末なクレーム対応をして顧客から更なる怒りを買えば、あっという間に悪評が拡散し、企業活動に致命的なダメージを受けます。
一度悪評がWeb上に出回ると、それだけで終わりなのです。
営業のクレーム処理
ここまでの説明で、クレーム処理がいかに重要なことか分かって頂けたと思います。
深刻な結果とならないよう、真剣かつスピーディにクレーム処理を行いましょう。
クレーム処理は初動が肝心
電話なりメールでクレームが入ってきたとき、なにはともあれ先ず謝罪をしましょう。
原因がどこにあるか、自社に非があるかなどにかかわらず、クレーム対処には心からの謝罪が必要です。
わざわざクレームの連絡をすると言う、顧客にとても不快な思いをさせたことに対して謝罪するのです。
謝罪をする際には、可能な限り客先を訪問して直接謝りましょう。
そして、顧客が訴えている内容を真剣に聞くことが重要です。
顧客の主訴が分かれば、対処の方法を検討できます。
相手が感情的になっている場合には、真剣に話しを聞くだけでなく、はっきりと要点をまとめる必要があります。
感情的なクレームは、本質をはっきりさせると顧客も徐々に落ち着きを取り戻します。
クレームにしっかり向き合って、真剣に受け止めた後、速やかな対応を約束して客先を辞することが第一です。
直ぐに対応を求められても、短絡的に対応をしたり、言い訳やごまかしがあってはなりません。
また、相手側の誤解や勘違いであっても、その場で簡単に処理しない方が賢明です。
スピードを優先しつつも、慎重に行動しましょう。
クレーム対応と会社組織
クレームを会社に持ち帰ったら、上司に報告するとともに速やかに対策会議を行いましょう。
関係部門と協議し、具体的な対策とスケジュールを決めて行きます。
解決策が出たなら、役割分担を決めて速やかに対応します。
場合によっては、解決に時間がかかることもあります。
その時は、先ず今後のスケジュールだけでもよいので、顧客に報告をしましょう。
何も連絡をせずに時間が経過すると、たとえ良い対策が見つかったとしても、顧客の感情が悪化して取り返しがつかないことになります。
また、クレームの内容によっては対応できないケースも出てきます。
その場合は、誠心誠意謝罪するほかありません。
「返金して引き取る」、「金銭的な保障をする」、「より高性能な製品と交換する」などの方法が考えられます。
客先に今後の対応について説明に行く場合は、良い内容であれ、そうでない内容であれ、単独での訪問は避けましょう。
2人以上で行くことが後々トラブルを防ぐコツです。
相手が思わぬ反応をした場合や、行違いがあって新たなトラブルになった場合に、2人なら冷静な対応ができます。
フォローの仕方
クレーム処理はフォローの仕方で大きく今後に影響します。
ちゃんとフォローすれば、「雨降って地固まる」の如く、顧客との関係がより深まって、これまで以上に良い関係が構築できます。
対策した結果についてその評価を聞く、また技術者を同行して製品にフィードバックするなど、顧客満足を向上させるフォローを行いましょう。
一方、対策を現場の技術に丸投げして、客先に一切顔を出さないという態度は危険です。
そんなことをすれば、クレーム対応が上手くできても、新たなクレームを生んだり、顧客が離れて行ったりします。
クレームを言ってくれる内は、まだ希望がありますが、何も言わず去って行く客も少なからず存在するのです。
きちんとフォローして、是非基盤顧客になってもらいましょう。
営業のクレームは好機
そんな風に思える訳が無いと多くの人は言うでしょうが、「クレームの電話はチャンス」なのです。
ただ、結構なストレスがかかるチャンスです。
ここで踏ん張って良い結果を残せるか、それともいい加減に対応して汚点となるかは貴方次第です。
禍を転じて福と為す
トップセールスマンなら、正にこの「格言」の如く、ピンチをチャンスに変えることができます。
トップセールスマンは、皆クレーム処理が得意と言うわけではありません。
実際は顧客のクレームを真摯に聞くことで、クレームの本質に迫っているのです。
顧客はクレームを言いながらも、真意が伝わっているのか不安も感じています。
その点トップセールスマンなら、クレームの本質に迫っているので、受け答えも適切であり、安心感を与えることができるのです。
顧客の気持ちを大事にする姿勢が、良い結果をもたらします。
よく「クレームは宝の山」とも言われるように、そこから得られる物も多いのです。
また、製品の改善すべき点を見事に言い当てているケースもあります。
そしてクレームの本質が分かれば、適切な対処方法も出てきます。
スピード感を持ってクレームに適切に対処できれば、顧客とは以前より信頼関係が深まります。
更に製品へのフィードバックにより、より良く改善できたならもっと良い関係になるでしょう。
クレームは成長の源
クレーム処理は大変ですが、得られる物がとても多く、営業マンを成長させるエンジンになります。
そのためクレーム処理を何度か経験すると、見違えるようになってきます。
なぜなら顧客対応以上に、社内の関係部署との交渉や、法務や経理との折衝が大変だからです。
社内では、上司に報告すると同時に、製造部門やサービス部門など関係各所と交渉して、解決策を出さなくてはなりません。
社内とはいえ、相手によっては協力的でなかったり、最初から検討の余地なしという場合もあります。
その場合は、上司の力を借りたり、顧客の力を借りて、解決策を出させる必要もあります。
社内でさらに頭を悩ませるのが、法務部や経理部です。
遵法を盾にとって、顧客に提出する書類に待ったをかけたり、そもそも解決策そのものに違法性があるなどと言われて、全く物事が進まなくなったりします。
時間ばかりかかって、結論が出ず、責任も取らずという最悪の事態にもなります。
そんな苦難を乗り越え、顧客に解決策を講じ、そしてフォローもしっかり実行すれば、その営業マンが成長しないわけがありません。
【まとめ】営業のクレームはまさに「ピンチはチャンス」
営業活動を続けていると、クレームは避けて通れません。
しかしクレーム処理は、自分にとっても、会社にとっても、良い機会に転換できます。
むしろ積極的にクレームに関わり、顧客とのよりよい関係構築を行いましょう。
その経験が、営業スキルをアップさせると同時に、顧客を増やして行くチャンスとなります。
クレーム処理ならお任せと言うくらいになれば、トップセールスマンへの道を進んでいることになります。
成果を実感するためにも、是非クレーム処理に関わっていきましょう。
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