「営業ノルマがきつく、パワハラなのでは?」と感じてる方も多いのではないでしょうか。
また、上司のパワハラじみた行動をうまくやり過ごせない方も少なくありません。
そこで今回は、営業ノルマがパワハラに繋がるケースと、ノルマにもパワハラにも苦しまない対策を解説していきます。
対応方法を知っているだけで、精神的なストレスが多い環境でも営業に専念できる状況を作れるはずです。
目次
営業ノルマとパワハラの違いとは?すべての目標が違法なわけではない
精神的なストレスが大きく、「すべてのノルマがパワハラなのでは?」と感じられがちですが、すべての目標が違法なわけではありません。
仮に高いノルマが設定されていても、それが正当な評価に結びついていればパワハラは該当しません。
また、同じようなシチュエーションで使われる「ノルマ」と「目標」という言葉ですが、異なるニュアンスをもっています。
基本的に、企業の経営状態や市場といったさまざまな要素から逆算され、絶対に到達すべき指標がノルマです。
そして、「前年比〇〇〇%」といった理想から、各営業に割り振られた数値が目標です。
精神的なストレスが大きいノルマですが、すべてがパワハラに繋がるわけではないことを理解しておきましょう。
ただし、次に解説するような行動や処分を受けた場合には、違法性のあるパワハラに繋がる可能性が生まれてきます。
営業ノルマがパワハラに繋がる3つの事例
ここからは、営業ノルマがパワハラに繋がる事例を紹介していきます。
先ほども触れたように、ノルマは企業が絶対に達成したい数字を指します。
ただし、上司が自爆営業の推奨や懲戒処分といった判断をおこなった場合には、違法になる可能性が生まれていきます。
自爆営業の推奨
営業ノルマがパワハラに繋がる、1つ目の事例が自爆営業の推奨です。
自爆営業とは企業が到達すべき数値をクリアするために、営業自身が自腹で商品やサービスを購入することを指します。
そして、こういったノルマ達成の方法は、労働基準法16条によって禁止されています。
もちろん、従業員が自らがすすんで商品の購入をすることは自由です。
ただし、購入の動機が「目標に到達しなかったこと」である場合は違法行為に該当します。
営業の立場では、違法性を立証することは困難ですが、まずは上司から自爆営業の提案を受けていないかを確認してみましょう。
懲戒処分
ノルマ未達による懲戒処分も、パワハラに繋がる可能性がある事例の1つです。
精神的なストレスの大きい環境では気づけないこともありますが、そもそもノルマ未達という理由だけで、懲戒処分の対象になることはありません。
懲戒処分は労働契約法第7条に基づき、従業員が果たすべき義務や規律に違反した場合の処置として、あらかじめ就業規則に明記し、告知することと定められています。
また、懲戒処分をおこなう場合には、その30日前までに解雇の予告をする必要があります。
そのため、義務や規律を守っているケースで、懲戒処分を受けることはほとんどありません。
ノルマ未達による言動の変化
また、ノルマ未達を理由に、上司や同僚が態度や言動を変えることも、パワハラに繋がる可能性があります。
- 人格を否定する言動
- 仲間はずれにする言動
- 脅迫を含む言動
「ノルマを達成していない以上、人格の否定や仲間はずれにされても仕方ない」と思い込んでしまう方もいますが、職場は成果に向けてのフォローをおこなうべき環境です。
ただし、自爆営業の推奨や懲戒処分と異なり、その事実が確認しづらい点には注意が必要です。
違法性を立証する場合には、必ず専門知識をもつ第三者に助けを求めましょう。
営業ノルマにもパワハラにも苦しまない5つの対策
ここからは営業ノルマにも、パワハラにも苦しまずに成果をあげるための対策を解説していきます。
営業ノルマと不条理なパワハラを正しく見極めるためには、「自分がやるべきことをやっているか」という明確な線引きが必要です。
上司や同僚からのプレッシャーと戦うのではなく、客観的な視点をもちましょう。
そもそも達成できそうな目標かを見定める
営業ノルマやパワハラから抜け出す1つ目の対策が、そもそも達成できそうな目標なのかを見定めるというものです。
会社のノルマに慣れてしまうと気づきにくい点ですが、従業員に割り振られる数値がそもそもおかしいというケースもあります。
ただし、「自分の実力不足なのか?それとも会社のノルマの設定がおかしいのか?」という判断に悩む方が多いのも事実です。
そのような見極めが難しいケースでは、同じ部署に所属している同僚の結果を確認してみましょう。
セールスチームのほとんどが未達である場合には、ノルマの設定そのものがおかしい可能性が高まります。
自分なりの改善を試みる
自分なりの改善を試みることも、ノルマやパワハラに苦しまずに営業に取り組む対策の1つです。
仮に達成するイメージをもてなかったとしても、次のような行動を心掛けてみましょう。
- 計画に沿った行動を心掛ける
- 商品特性を正しく把握する
- 堂々とした態度を心掛ける
たとえノルマを達成できなかったとしても、できる限りの行動をしておくことが先々のリスクヘッジに繋がります。
「自分は出来る限りのことをしているから、堂々としていよう」というマインドをもっていることで、不条理な要求を飲まざるを得ない状況を回避できます。
上司や人事とのコミュニケーションを大切にする
営業ノルマやパワハラに苦しまずに営業をおこなう、3つ目の方法が上司や人事とのコミュニケーションを大切にすることです。
先ほど触れたような自爆営業の推奨や懲戒処分をおこなう会社は除きますが、コミュニケーションを通じて、会社が提示されるノルマや目標の根拠を理解できます。
また、コミュニケーションを取る際は、直属の上司のほかに味方をつくっておくことが重要です。
仮に「これはパワハラになるの?」と確信がもてない状況であっても、人事などの別部署の人を頼ることで確信に繋げられます。
頼りになる第三者に相談する
営業ノルマやパワハラに苦しまずに営業をおこなう、4つ目の方法が頼りになる第三者に相談することです。
今回は弁護士、転職エージェントと、他社で活躍する友人や家族を取り上げますが、会社の内情を知らない人に相談することをおすすめします。
弁護士
今回取り上げる第三者のなかで、もっとも専門性の高い存在が弁護士です。
先ほど触れたような自爆営業、懲戒処分といった、違法性が認められた行動があった場合にはすぐに弁護士に相談することをおすすめします。
従業員の目線でその事実があったとしても、法的な手続きを取るためには証拠が必要です。
弁護士に相談することで、証拠の残し方といった基本的なアドバイスを得ることができます。
また、上司や同僚が態度や言動を変えるといった、違法性が不明確な場合もできるだけ早めに弁護士に相談しておきましょう。
弁護士は法律という明確な根拠を持ち、パワハラに繋がる可能性を冷静に見定めてくれます。
ただし、相談料がかかることが多いためお金をかけるべきかどうかもしっかりと判断しましょう。
転職エージェント
ノルマがきつく、パワハラの可能性がある場合に頼りになる第三者が転職エージェントです。
転職エージェントは、その名の通り、転職の斡旋をおこなうプロフェッショナルです。
日頃から求職者の要望や悩みを聞き、さまざまな職場を見ているため、ノルマのきつさやパワハラについても精通しています。
また、そのまま転職につなげられる可能性があることが、転職エージェントに相談する一番のメリットです。
自爆営業、懲戒処分をおこなった企業に対して訴訟を起こすなどの法的な手続きはおこなえませんが、
「自分の実力不足なのか?それとも会社のノルマの設定がおかしいのか?」という不安を解消することができます。
ノルマのきつさやパワハラの可能性を相談することが、転職のきっかけになることもあります。
他社で活躍する友人や家族
他社で活躍する友人や家族に相談することも、ノルマのきつさやパワハラを解消する1つの方法です。
パワハラの現場を見せることはできませんが、「今の時代にノルマ未達で態度が変わるのはおかしい」といった、冷静な意見を出してくれるでしょう。
また、家族が強い味方になってくれるケースもあります。
例えば、もし管理職をしている家族がいれば、上司や同僚、職場の雰囲気からパワハラの可能性を見出してくれるでしょう。
環境設定を見直す
環境設定を見直すことも、営業ノルマやパワハラを回避する手段の1つです。
会社が定める異動の時期などにもよりますが、あまりにも精神的なストレスが大きい場合には、他部署への異動を希望するという選択も1つの手段です。
環境を変えるためすぐに転職活動をする方もいますが、まずはほかの部署や環境に異動できないか人事に相談してみましょう。
そして、社内でなかなか事情を理解してもらえない、話すら聞いてもらえないといった場合に、転職エージェントへの相談を始めるといった段取りが大切です。
転職せずに他部署に異動することで、精神的なストレスからの解放とキャリアを傷つけないキャリアチェンジという2つのメリットを手にすることができます。
【まとめ】営業ノルマで悩む時は、第三者へ相談しましょう
「営業ノルマが厳しく、パワハラなのではないか?」と感じている方は、事前にしっかりとした対処法を理解しておきましょう。
精神的なストレスを感じ、ノルマを達成できないプレッシャーから、会社に居づらくなってしまう営業も少なくありません。
そのため、疑問を感じた段階で、何かしらの対処法を知っておくことが重要です。
まずは会社からの自爆営業の推奨や懲戒処分は違法性が認められる可能性が高いこと、
それから、ノルマ未達による上司や同僚の言動の変化はパワハラに該当する可能性がある、この2点を必ず理解しておきましょう。
法律によって違法性が認められる場合には、弁護士などの専門機関への相談が最善の手段です。
また、パワハラが疑われる場合は、知人や友人にそれとなく相談してみることをおすすめします。
不条理な要求を飲んでしまったり下手に出ることで状況が悪化することがあるため、できる限り毅然とした態度を心掛けましょう。