営業なら、顧客に商品やサービスを気に入ってもらうために、一生懸命売りこむことが必要です。
とっておきのセールストークを駆使して、何とか採用してもらおうと必死になります。
ところが、出来合いのカタログや定番の言葉だけでは、なかなか受注することは難しいでしょう。
ここで少し落ち着いて考えて見てください。
売りたい気持ちが先行し過ぎて、何か忘れていませんか?
その説明は本当に顧客にとってメリットがある内容になっていますか?
商談が停滞してどうすべきかと悩む、こんな時は提案書を活用しましょう。
効果的な提案書があれば、必ず顧客の心を動かし商談を有利に進捗させてくれます。
この記事では、提案書の役割と効果的な提案書について、作成方法や使い方を紹介します。
目次
営業が準備するべき提案書とは?
提案書は社内でも用いますが、多くの場合顧客に対して使用します。
提案書は、予め顧客の課題や希望をヒアリングして、それを自社が持つ商材で如何に対応するか、もしくはどれだけメリットを提供できるかをアピールする資料です。
提案書はプレゼン資料とは違いますが、多くの場合PowerPointやKeynoteなどのプレゼンテーションソフトを使って作成します。
プレゼン資料の場合はプレゼンターとセットなので、一枚のスライドに1つの主張を表せば、後はプレゼンターが補足説明します。
そのため、シンプルで視覚に訴える、直感的なスライドがよいとされています。
一方、提案書はそれを使って営業が説明する場合もあれば、提出した後に顧客の会社内で一人歩きすることもあります。
そのため、提案書を見るだけでその主旨が十分理解できるような構成にすることが良いでしょう。
特に意思決定者が見た場合に、魅力的な提案だと評価することを想定して作成します。
効果的な提案書は営業の強力な武器であり、営業マンがいない間も顧客の社内で働いてくれます。
ただし、良いことばかり書かれた提案書は説得力に欠ける場合があるため、必ずしっかりとしたエビデンスを添付することが必要です。
具体的な数値や使用経験などできちんと説明できないと、いくら良い提案をしても説得力がありません。
特に、未だ市場投入されていない新製品や新技術の場合、多くの場合社内資料しか無いので、提案は慎重に検討しなくてはなりません。
営業の効果的な提案書作成のためのポイント3つ
よい提案資料は、あくまでも顧客目線で表現されていることです。
そのために重要なポイントは、次の通りです。
- 顧客からしっかりヒアリングできている
- 顧客の課題解決をし、費用対効果を検討する
- その根拠を示すことができる
効果的な提案資料を作成する場合には、全てのポイントをきちんと押さえておかなくてなりません。
ヒアリングをする
先ずは営業の基本、ヒアリングです。
当り前ですが、顧客の課題や希望を具体的にヒアリングできないと、ちゃんとした提案はできません。
ここはじっくりと、しっかり時間をかけて顧客の話を聞いて、内容を確認しましょう。
手抜きをして適当にヒアリングしたり、キーマンの意向を確かめずに提案書を作成すると、的外れの内容になりかねません。
仮説を立てるにしても、不確かなヒアリングデータばかりではとても危険です。
提案書の内容を左右する重要なステップなので、丁寧なヒアリングを心がけましょう。
課題解決・費用対効果を検討する
ヒアリングの結果、顧客の課題や希望が明確になったなら、それにどのように応えるかを社内で検討しましょう。
自社の商品やサービスを使って、どのように課題解決ができるのか。
自社の商材やノウハウで、いかにメリットを提供できるのか。
希望の予算内で、費用対効果が高い提案ができるのか。
さらに、顧客が予想していなかった改善点や効率化など、副次的なメリットを訴求できると提案効果が倍増します。
この点は、他施設での使用経験や導入事例をよく調べておくとよいでしょう。
また仮説思考を用いて、顧客が気付いていない課題解決にも効果が発揮できるなら、素晴らしい提案になります。
ここまでの内容をきちんと整理して、顧客が想定している予算内で実現可能かどうか精査しましょう。
実現可能であればよいですが、予算を大きくオーバーする場合は、予算枠の見直しを交渉してから提案しなくてはなりません。
また、他社との競合が想定される場合は、慎重に見積り価格を設定する必要があります。
エビデンス・使用経験で裏付ける
提案内容が決まったら、その裏付けとなるエビデンスを収集しましょう。
提案によって、「〇〇%効率がアップする」「▢▢倍の処理能力になる」「△△円の増収が期待できる」など、導入事例や機器の稼働時の性能を証明できるようにします。
詳細な資料は、別途添付する手法がスマートです。
提案内容と同等の商品・サービスの使用経験は説得力のあるデータとして有効です。
顧客と同業の会社や同規模の企業であれば、さらに効果的な資料になります。
社内で情報収集を行って、必要であれば自分の目で導入先に確かめに行って、実際の評価を顧客に説明することもおすすめです。
新製品や新技術の場合、提示できる物は社内データしか無いケースも想定されます。
その際は、予め開発担当者と共に顧客に十分説明をして了解を取り付けるか、開発現場へ見学に連れて行って納得してもらいます。
他にも、破格の安さで「お試し価格」の提案をして、そのかわりに施設見学や使用経験のレポート作成をお願いする方法もあります。
実際に営業の提案書を作成する
社内で検討して問題無しとなれば、いよいよ提案書を作成します。
先ず、全体の構成と提案ストーリーをよく考えましょう。
肝心なことは、徹底して顧客目線で考えることです。
基本構成は、「表紙」「提案内容の概要」「顧客の課題や希望」「課題解決・希望達成」「提案の優位性」「顧客メリット」「顧客想定外のメリット」「エビデンス」「まとめ(必要に応じて概算金額提示)」以上で9枚となります。
スライドの枚数は表紙も入れて10枚以内、詳しい説明が必要な場合は別添の資料で行います。
個別のスライドについて
表紙は、正式な顧客名と、提案内容が容易に想像できるタイトルを入れると理想的です。
提案内容の概要では、今回の提案で「〇〇を解決します」「▢▢%収益がアップします」「△△の心配が無くなります」など、この後の内容をまとめて書きます。
顧客の課題や希望は、改めて現状を確認するスライドなので、課題や希望を具体的に表現します。
課題解決・希望達成では、提案の商材がどのように機能して課題を解決する、または希望を達成するかを、図や表なども使って視覚的に訴えます。
提案の優位性は、提案内容が他社と比べて優れている点や、費用対効果が高いことなどを、数値やグラフなどを使ってアピールします。
エビデンスと同様の資料になることもありため、顧客メリットは、一番重要なスライドになります。
課題が解決されると、または希望が達成されると、顧客にとってどんな利益が得られるのかを、可能なら3点程度提示します。
顧客想定外のメリットは、あればとても効果が大きいのですが、無ければ無理に発案するしなくてよいので割愛します。
エビデンスでは、顧客メリットをデータで裏付けたり、実際に使用してメリットを実感しているケースを紹介します。
さらに、デメリットがあればそれも書き添えます。
その方が、メリット一辺倒の提案書よりも顧客が納得しやすくなります。
「年間維持費がかかる」「専用回線が必要」「社内教育と習熟期間」「データ入力が手間」など、1~2点のデメリットを提示します。
最後に、まとめで強調したい顧客メリットを再度訴えます。
まとめのスライドに、費用の概算を提示する場合もあります。
また、自分の電話番号やメールアドレスなど、連絡先を書いておくことで、提案内容に関する問合わせなど、タイムリーな対応に役立ちます。
営業がうまくいく提案書にするよう体裁を整える
顧客に好印象を与えたり、読みやすさや理解しやすさのために、提案書の体裁を整えることも大切です。
レイアウト、フォント、色使いなど、見栄えが良いように作成しましょう。
インターネットで検索すると、様々な提案書やその雛形をを見ることができるので、気に入ったものを参考にするとよいでしょう。
レイアウトは原則左詰めで、図形やグラフは大きさを揃えると見栄えがよくなります。
フォントはメイリオがおすすめで、18ポイント以上のサイズを使いましょう。
グラフを除いて、色は3色までの使用を心がけて、シンプルに仕上げましょう。
会社の規定で決まっている場合を除くと、提案書は自分で作成することになりますが、可能なら先輩や同僚が作った提案書を流用する方法がおすすめです。
一から作成すると大変な時間を費やすことになるので、是非社内にある財産を使ってみてください。
できあがった提案書は、他の顧客向けにも応用できるので、決して無駄になりません。
そして幾つかのパターンができると、今後は最小限の労力で提案書が作れます。
ということなので、最初はしっかりとした提案書を作っておきましょう。
顧客に持っていく前に、他の人の提案書と比べると参考となる点や発見があるので、誤字脱字などのチェックと共に実施してください。
提案書を実際に使ってみて、どこが良かったか、または悪かったかを、顧客の反応を見ながらふり返ってみましょう。
これをくり返すことで、より効果が高い提案書ができるようになります。
【まとめ】営業の受注率をアップさせる鍵は提案書にあり
効果の高い提案書は、営業の心強い相棒です。
提案書を使って、顧客の課題を解決したり、希望を叶えたりできることをアピールすれば、受注の確立が大きくアップします。
提案書が上手く機能するか否かは、何と言ってもヒアリングの成否にかかっています。
営業の基本を疎かにせず、顧客の身になってしっかりヒアリングを行ってください。
顧客の課題や希望をきちんと把握できたなら、商談をリードできます。
リードした商談を確実に成約まで進めるには、顧客目線で書かれた提案書が役立ちます。
顧客が納得する効果が高い提案書を、しっかり作成できるようになりましょう。
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