営業活動をしている中で、「新規開拓がうまくいかない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
同じ営業でも新規開拓には、ルート営業とは異なる難しさがあります。この記事では、具体的な新規開拓営業の方法、そして成果につながる心得を紹介していきます。
心得を大切にしながら、新規開拓営業の手順を踏むことで、これまでにはなかった手ごたえを感じられるでしょう。
目次
そもそも新規開拓営業とは?
新規開拓営業とは、これまで取引のなかった新しい顧客を開拓し、販路を拡大する手段です。
既存顧客にアプローチをするルート営業と違い、今まで取引をしたことがない新規顧客をターゲットとする点に大きな特徴があります。
企業が新規開拓営業に注力する理由は主に次の2つです。
- 営業先の増加による「売上の向上」
- 業績低迷リスクを軽減できる
すでに取引のある顧客に向けた営業も、もちろん大切です。
しかし、景気や流行の変動が激しくなったことで、新規開拓営業の必要性を再認識している企業も増えています。
一営業であっても、企業が行いたいリスクヘッジなどの目的をしっかりと理解しておきましょう。
新規開拓営業の方法の前に知っておきたい3つの心得
新規開拓営業の方法を解説する前に、セールスマンが常に意識しておきたい心得を紹介していきます。
具体的な新規顧客へのアクションについては後述しますが、今から紹介する「PDCAサイクルでのブラッシュアップ」「営業戦略を明確にする」「ターゲティングの精度を高める」という3つの心得があることで、さらに営業を効率化できます。
1.PDCAサイクルでのブラッシュアップが必須
新規開拓の具体的な方法を知る前に理解しておきたい1つ目の心得が、PDCAサイクルでのブラッシュアップが必須ということです。
新規開拓営業と聞くと、「一期一会の機会で提案し、提案が不採用であればそこで終わり」というイメージがありますが、ビジネスである以上はその事象から何かを学ぶという姿勢が求められます。
そして、新規開拓営業での学びを効果的なものにしてくれるのが、PDCAサイクルでのブラッシュアップです。
新規開拓営業を組織全体で行うか、個人で管理するかは企業によって異なりますが、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を繰り返すというテンプレートを利用しましょう。
ただ漠然とサービスや製品の良さを伝えるよりも、1つ1つのアクションを記録し、どのような方法で出会い・どのような話を聞いて・どのような提案をしたかを、営業1人1人が振り返るだけで、組織の大きな知識やノウハウの構築に繋がります。
2.営業戦略を明確にする
新規開拓営業の2つ目の心得が、営業戦略を明確にすることです。
新規開拓営業には、個人戦というイメージがついて回りますが、営業戦略に即した行動に重きを置くことも大切です。
一例ですが、営業戦略は次のような手順で進められます。
- 目標の確認(売上目標、シェア)
- 環境分析(景気の動向、ビジネス環境、マーケットの変化)
- 競合分析(新商品の動向など)
- 自社分析(強みの発見、現時点での戦力の把握)
- 顧客分析(重要既存顧客の決定、潜在顧客の把握、分析)
- 現状の課題と対応策を決定
まずは、どのくらいの売上やシェアを目指すのかゴール設定し、そのあとにさまざまな分析を行います。
野球やサッカーなどの団体競技で、優勝を目指す作戦会議をイメージしてみるとわかりやすいでしょう。
相手チームがどのような戦略をとるか予想しながら、自チームのポテンシャルをいかに活用するかという考え方が営業戦略です。
3.ターゲティングの精度を高める
新規開拓営業を行う際の3つ目の心得が、ターゲティングの精度を高めることです。
ここが新規開拓営業の難しさでもありますが、ターゲティングの精度の低さは営業のパフォーマンスを下げるという悪循環を生みます。
新規開拓営業でおこなうターゲティングは、次の手順で明確化していきます。
- 人口動態変数を把握する(年齢、性別、職業、所得、学歴など)
- 地理的変数を把握する(国、地方、気候、人口密度など)
- 心理的変数を把握する(ライフスタイル、趣味、価値観など)
- 既存顧客の動向を把握する(業種、企業規模、本店所在地、意思決定者の役職など)
営業戦略を明確にした段階で、上記の要素からどのような顧客にアプローチしていくかを明確にしましょう。
PDCAサイクルを用いて、これまでの実績を参照できる状態にしておくことで、ターゲティングの正確さもブラッシュアップできます。
新規開拓の営業方法5選
ここからは新規開拓の営業方法を解説していきます。
昔ながらの方法から、ここ数年で主流になったオンラインを活用した方法までを、幅広く紹介します。
電話
新規開拓営業で用いられる1つ目が、電話です。
電話営業はテレアポとも呼ばれ、時間をかけずに見込み客とのコミュニケーションを図れる方法です。
ただし、なかなか決裁者と話すことができないという点には注意が必要です。
電話はアポイント取得に活用し、提案は対面でおこなうといったルールがないがしろにされてしまうと、決裁者に伝言する形で終わってしまうケースは珍しくありません。
また架電前のアポイント取得・メルマガや、架電後の御礼、後追い営業にはメールも積極的に活用しましょう。
紹介
紹介も新規開拓営業で用いられる方法の1つです。
企業によって重きの置き方にも違いがありますが、トップセールスほど紹介を上手に活用しています。
はじめから紹介を得ることを目的にするのではなく、顧客に満足いただいた延長線上に紹介があると理解しておきましょう。
ただし、キャンペーンなどの方法で、紹介を促進するのも一つの方法です。
SNS
ここ数年で、新規開拓営業に用いられる手法になったのがSNSです。
取り扱っている商材やサービスによって、不適合な場合もありますが、企業の認知度アップや顧客への注意喚起などの効果を見込める方法です。
程よく顧客の関心をひける手段として用いられています。
勉強会・セミナー
新規開拓営業に用いられる4つ目の方法が、勉強会・セミナーです。
商談に入る前に、勉強会やセミナーというフローを入れることで、見込み顧客リストの精度をグッと高めることができます。
また、勉強会やセミナー開催によって、自社の社員が持つべき専門知識を向上させられることも、得られるメリットの1つです。
オウンドメディア
オウンドメディア開設も、新規営業に用いられる方法の1つです。
オウンドメディアとは、企業が所有するメディア全般、企業HPやブログを指します。
オウンドメディアは利用すべき価値を提供しなければならず、運用は簡単ではありません。しかし、その質が高ければ、企業へのイメージや信頼度を高めるなどのメリットを手にできます。
「この分野と言えばこのオウンドメディア」と確固たる地位を確立できれば、新規開拓にかける時間と労力を大きく削減できるでしょう。
新規開拓の営業方法をさらに効率化する5つの手順
最後に、新規開拓の営業方法を効率化する手順を解説していきます。
冒頭でも触れたように、ただひたすらに数を打っていても、業務が効率化されることはありません。
これから紹介する「既存顧客を徹底的に分析する」「営業リストを作成する」「相手の課題を引き出す」「悩みに合わせた改善策を提案」「PDCAサイクルを回してさらなるブラッシュアップに取り組む」という5つの手順を経て、新規開拓の営業業務の効率化を目指してきましょう。
既存顧客を徹底的に分析する
新規開拓営業を効率化する1つ目の手順が、既存顧客を分析することです。
ひたすらに新規顧客を追い求めるのではなく、すでに顧客になっているユーザーがなぜ顧客になったのか、どんなメリットを提案できたのかの分析から始めていきましょう。
この分析により、自社の強みを再認識することが可能になります。
「〇〇という点に困っているユーザーを探す」とテーマを設けるだけで、業務効率を大きく高めることができます。
営業リストを作成する
新規開拓営業を効率化する2つ目の手順が、営業リストを作成することです。
営業リストに掲載する情報はインターネットでの情報収集、企業情報のデータベースの購入などの方法で取得可能です。
また、SNSやオウンドメディアの活用によって、競合の少ない営業リストを作成も可能になります。
相手の課題を引き出す
相手の課題を引き出すことも、新規開拓営業を効率化する方法の1つです。
一見するとコストパフォーマンスが低く見えますが、丁寧なヒアリングが業務効率化を進める一番のポイントです。
また、相手のニーズがわかっていない段階での提案はNGです。
相手のニーズに応えた提案をしていれば、新規顧客が既存顧客となり、いつしか紹介をいただく関係に発展していくかもしれません。
そんな人間関係の第一歩が、相手の課題を引き出すというフローなのです。
悩みに合わせた改善策を提案
新規開拓営業を効率化する4つ目の手順が、悩みに合わせた改善策を提案することです。
お客様に提案する際は、できるだけオーダーメイドであり、相手のメリットになる提案であると言い切るようにしましょう。
提案そのものの訴求力だけではなく、相手のために時間や労力を費やす姿勢が、新規顧客の心をつかみます。
PDCAサイクルを回してさらなるブラッシュアップに取り組む
新規開拓営業を効率化する5つ目の手順が、PDCAサイクルを回してさらなるブラッシュアップに取り組むことです。
新規開拓は新たな関係性を構築していく必要があり、ノウハウの有無によって業務効率に大きな違いが生まれます。
また、PDCAを回すことで、営業のスキルアップを促進できることも大きな魅力です。
1つ1つの行動に「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのテンプレートを伴わせましょう。
【まとめ】成果を出すために新規開拓営業の方法や心得を意識しよう
今回紹介したように、新規開拓の営業には5つのオーソドックスな方法があります。
ただし、どの企業の営業も実践できる方法であり、差をつけるためには心得を正しく把握し、実践する必要があります。
今回取り上げた、心得や手順を意識することで、競合他社のライバルとの差別化ができるでしょう。