就職や転職を考えるときに、一度は誰もが調べたことがある営業という職種。でも意外と、営業職にどんな種類があって、その人の向き不向きまで詳しく知っている人は少ないのではないのでしょうか。
稼げるイメージと相反して、なんとなく辛いイメージがある営業職ですが、ここ最近はかなり営業職の市場価値自体が上がってきました。
ただし、選択を間違えるとブラック企業や市場価値の上がらない営業があるのも事実です。
本記事では、営業・販売職の転職・キャリア支援を日頃から行い、営業ノウハウ本を出版予定の「営業のキャリア専門家」が、営業の種類を大解剖。
36種類を構成する11個の特徴要素を「5W」を使って、世界一わかりやすく、ひとつひとつ丁寧に解説していきます。
「5W」とは、何を(What)、誰に(Who)、いつ(When)、どこで(Where)、なぜ(Why)を指し示す言葉です。
これから営業の仕事が気になっている人はもちろん、もうすでに営業として働いている人も、自身の立ち位置やキャリア整理などで、この記事を参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 5Wで種類分けした、世界一わかりやすい営業職の分類と特徴
- 営業職ごとに分けた、それぞれの向き不向きや、メリット・デメリット
- 営業キャリアに悩んだ時に、絶対に覚えておきたいたった1つの大事なこと
目次
営業職とは? 種類とオススメ理由
そもそも営業職とはなんでしょうか?
営業職(えいぎょうしょく)とは、見込み客に自社の物品・サービスまたは情報、といった財(商品)の購入を促して、売買契約を結ぶ職業である。(wiki)
簡単にいえば「誰かに対して購入を促す職業」ですね。営業職で大事なのは価値のある商品やサービスを顧客に対して提供すること。
営業というと、単純に「ものを売る仕事」と思う人は多いかもしれませんが、その仕事内容についてよく見てみると、営業はいくつかの種類に分けることができます。
営業職36種類を、5Wで11要素に仕分ける
営業の種類は多種多様にあります。最近では新しい営業のスタイルも確立されてきているので、既存の枠組みだけでは特徴を説明しきれていないことが多くなってます。
このように5Wで仕分けると、その組み合わせ次第でなんと36種類もの営業職に分類できてしまいます。
組み合わせ
5Wそれぞれの要素の組み合わせは
2C1 ✕ 3C1 ✕ 2C1 ✕ 3C1 ✕ 1C1 = 36
ここでは、36種類を構成する11個の要素を、5Wを使って解説。
営業職の種類を、特徴・メリット・デメリットまで含めて、世界一わかりやすく解説していきます。
営業の種類を商材で仕分け|What(何を売る?)
商材軸で分けようと思えば、それこそ世の中にある商品やサービスの数だけ種類を分けることも出来ますが、ここでは大きく「有形商材」と「無形商材」の2つにわけて考えていきます。
- 有形商材
- 無形商材
有形商材とは、実際にモノとして存在している有形の商材を指します。有形商材はさらに大きく分けて下記の2種類に大別できます。
- 加工された製品として完成済の「製品系」
- 原材量や素材などの「原料系」
無形商材とは、サービスや知識・情報など、モノとして存在していない商材を指します。無形商材はさらに大きく分けて下記の3種類に大別できます
- 企画/開発系
- 業務代行系
- コンサルティング・情報提供系
有形商材の特徴・必要になる能力
加工された製品として完成済の「製品系」
加工された製品として完成済の「製品系有形商材」の典型的な例は、オフィス器具や住宅などの販売営業です。
自分たちが販売している商品の知識や、競合商品の知識の他に、お客さんとの関係値を作る能力が重要になります。関係値とは、言い換えれば仲良くなる力ですね。
「製品系有形商材」は競合商品がわかりやすく、インターネットや店頭で探せば価格などもすぐわかってしまいます。そのため、基本的に価格競争になることが多く、お客さんと仲良くなることで関係値を作っていくことが求められます。
原材量や素材などの「原料系」
原材量や素材などの「原料系有形商材」は、原料食品・化学素材・鉄機材などが一般的でしょう。
飲食店や製品加工工場の現場では、「昔からの付き合い」で発注していることも少なくないため、よりお客さんとの関係値を作る能力が求められます。
また、原料系有形商材はコスト計算がシビアであったり、流通網の戦略なども考慮するため、商売人的な交渉や細かい数字勘定のような能力も求められるでしょう。
無形商材の特徴・必要になる能力
企画/開発系
「企画/開発系無形商材」は、イベントの企画やITシステムの開発などが当てはまります。よく、求人では「企画営業職」や「IT営業職」といった職種として掲載されていますね。
企画/開発系では、基本的にはお客さん自身が解決したい課題を認識していないことが多く、状況や目的などをヒアリングしていきながら、課題を発見する能力が求められます。
そこからどうやって自社のリソースを使って課題を解決できるかを考え、サービスを提案していく営業スタイルになっています。ゼロから企画したり、開発の提案をすることが多いため、想像力や構想力も非常に重要になります。
業務代行系
「業務代行系無形商材」は、その名の通り、ある業務を代行するサービスを提案する営業です。「提案営業」や「コンサルティング営業」といった名前で求人に掲載されることが多いですね。
営業代行や採用代行のように、企業活動の一部を、外部委託するようなサービスを提案をします。
そのため、お客さんの現状の業務における時間的・金額的なコストパフォーマンスを、的確に把握しなければなりません。そしてサービスを利用すると、どれくらいの業務削減・あるいは業績アップが見込めるか提案するロジカルな説明能力が求められます。
このロジカルにコスト削減や売上アップを支援する部分が、コンサルティング営業と言われている所以でもあります。最近では、業務効率のためのITサービスの導入営業なども、これに近い営業スタイルになってきていますね。
コンサルティング・情報提供系
「コンサルティング系無形商材」は、情報提供すること自体を価値として、お客さんが収集出来ない情報を提供し続ける長期的な契約をする営業です。
情報収集力を武器に、お客さんに対してその道のプロフェッショナルとして、情報価値を提供し続けることを「約束する」営業スタイルになります。プロフェッショナルとしての立ち振ち舞い、お客さんや競合を上回る圧倒的な情報量などが営業時に求められますね。
コンサルティング・情報提供系では、開拓する営業担当と契約後のコンサルタントが同じケースも多いですね。
向き・不向き、メリット・デメリット
有形商材
有形商材の営業に向いている人は、顧客との関係値を作る能力がある人でしょう。また、最も重要なのは、その商品を自分も欲しいと思えるか、好きになれるどうかも重要です。実物があるので、自身が商品を好きになれない方にはあまり向かないでしょう。
有形商材の営業のメリットとしては、実物があるため共通認識を持ちやすく、欲しい人がいれば買ってもらえる点です。デメリットは、その商品を欲しい人を見つけるために行動量が多く求められる点です。無形商材と比べるとより行動量が重要になるでしょう。
無形商材
無形商材の営業に向いている人は、他人の話を聞いて課題を抽出したり、解決策を導き出すのが好きな人です。ヒアリングをして相手の課題を捉える力最重要なため、相手の課題を聞き出すことが出来ない、あるいは話を聞くのがあまり好きではない方は向かないでしょう。
無形商材の営業のメリットとしては、相手の課題に合わせたサービスを提供出来るので、自由度が高いことです。また、困っている人の課題を発見する能力は、どんな仕事にも求められる能力なので、自身のキャリアの大きな財産になるでしょう。
デメリットはお客さんが答えを持っていないことも多く、ある程度想像力なども求められる点です。答えがない問題に取り組まないといけないので、答えありきの仕事がやりたい人には向かないでしょう。
ただ、営業キャリアの専門家という立場からすると、おすすめは圧倒的に無形商材です。今後、有形商材の営業は、AIを中心としたIT技術によって消えていくことが予測されています。
逆に、営業的に高度な無形商材は「資本主義が続く限り存在し続ける」とも言われています。キャリアと言う視点に立つと、無形商材の方が良い選択肢になると言えるでしょう。
営業の種類を顧客先で仕分け|Who(誰に売る?)
営業する顧客先の種類(個人・法人・公共機関・海外)
- 個人
- 法人
- 公共機関
- 海外
営業の種類は大きくわけての4つになるでしょう。個人向けの営業職は BtoC 営業、法人向けの営業職は BtoB 営業と言われており馴染みがあるかも知れません。
最近は地方創生なども相まって、政府や自治体向けなど公共機関向けの営業職を BtoG 営業、グローバル化による海外向けの営業職(海外は英語で “Oversea” なので BtoO ?)も多くなってきています。
個人向け営業の特徴・必要になる能力
一般の人や家庭を相手に営業をするのが個人向けの営業です。実店舗などを持っている場合も多く、私は個人的には接客販売なども個人向け営業だと思っています。
住宅の販売や証券の営業などが一般的ですね。個人向け営業では、お客様を納得することができるかが交渉の決め手となります。基本的にそれは「お客様の感情」であることが多く、感情的に心地いい状態を作る能力が必須です。
そのため個人営業は、信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルや、人の良さが求められます。
個人向け営業では、売る商材の金額で必要能力が大きく変わります。バーでのカクテル販売と、マンション購入では全く異なる能力が必要になりますよね。
購入金額が少ないほど感情(右脳)で納得してもらいやすく、購入金額が高ければ高いほどロジック(左脳)での納得が求められる営業スタイルになります。
法人向け営業の特徴・必要になる能力
企業に対する営業は全て法人営業になります。オフィス製品の販売、システム開発、マーケティング支援など、非常に幅広いですね。
法人向けには多くの商品・サービスの営業職があり、特徴や必要能力を一概に言うことは難しいのですが、基本的には売る相手先の「部署」と「金額の大きさ(検討期間)」の2つで必要能力が変わってきます。
相手先の「部署」とは、営業部、人事部、開発部など担当する業務に応じて分割された組織上の区分です。これに加えて経営層や役員なども含まれます。
色々な部署に対してソリューションを提案してきて言えることは、人の性格や物事の判断の仕方は、部署によってかなり違いがあるということです。一例ですが、営業部は「売上」を最優先したかったり、経理部は「ミスをなくす」ことを最優先したかったり、経営層は「コスト削減」を優先したかったりなど、部署によって思惑は全然違います。
「金額の大きさ(検討期間)」はその名の通り、商品・サービスの金額の大きさです。法人営業では、商品・サービスの金額の大きさによって、企業の検討期間や検討に関わる人数が変わります。
例えば、20万円のホームページ開発の提案と、数億円かけた社内システム入れ替えの開発提案では全く違った動き方になります。金額が低いほど営業時に関わる人が少なく期間も短くなり、金額が大きいほど関わる人が多く検討期間も長くなりますね。
これは営業先の企業だけに限ったことではなく、社内や自社の提携先なども関わってきます。そのため、営業先企業にいる複数の人に納得してもらうだけではなく、多くの人の意見をまとめる能力やマネジメント能力なども求められます。
公共機関向け/海外向け営業の特徴・必要になる能力
公共機関向けの営業と海外向けの営業は、「相手先の文化や習慣が、自社と違う」という点など、共通する特徴が多かったので1つにまとめました。馴染みがあまりない方も多いと思うので、それぞれの概要の説明も致します。
公共機関向け営業とは
政府機関や地方自治体、公務員など、公的な役割を担う組織に対する営業職があります。それが公共機関向けの営業職です。求人サイトなどではなかなか見ることがありませんが、企業はPRのために公共機関の案件獲得を裏では意外と必死にやってたりします。
会社内で成績を残すと、公共機関向けの営業ポジションに就くことがあります。国と仕事をしたという実績は、個人のキャリアにも大きな財産になりますね。
海外向け営業とは
海外向け営業はその名の通り、海外企業に向けた営業です。一般的には、海外の法人に向けて営業することが多いので、法人営業の一種ですね。
日本人へ営業とは違い、日本語以外の語学力や、取引する国ごとの商習慣などに合わせてビジネススキルを身につけることができます。今後さらに世界がグローバルになっていき、日本の人口が減少していくことを考えると、海外営業の経験も、キャリアにとって非常に大きな財産になるでしょう。
特徴・必要になる能力
公共機関向け営業と海外向け営業の特徴としては、相手先の「地域」や「領域」によって身につける能力やマインドセットが大きく変わることです。
一例ですが、地方公共団体の都市計画課に営業するのと、国土交通省の観光庁に営業するのは全然違う能力が必要です。また、インドのムンバイ(首都)に営業するのと、アメリカのダラスの田舎に営業するのは全く違う能力やマインドセットが必要になります。
日本の法人とは、承認プロセスも文化も常識も違うので、一般的な法人向けの営業スタイルでは基本的に全然上手くいきません。ここで必要になるのは、相手先の慣習や文化を深く知り、事前準備を必要以上に行い、相手を尊重しつつ地道に交渉を重ねること。
相手からすると、あなたはただのよそ者です。短期的ではなく、長期的視野に立って地道に交渉していく能力が求められるのです。
向き・不向き、メリット・デメリット
個人向け営業
個人向け営業に向いている人は、そのお客さんの悩みに共感し、居心地の良い空間を作れる人です。逆に他人に興味ない人や、そういった空気感を作るのが苦手な人はあまり向いていないと言えるでしょう。
個人営業のメリットとしては、お客さん個人の悩みを解決できるので、その人の人生に大きく寄与することが出来ることです。デメリットは、法人と違ってロジックだけではなかなか上手くいかないところですね。
法人向け営業
法人営業に向いている人は、複数の人々の利害関係を調整したり、マネジメントすることが得意な人です。
金額がどんなに少なくても、基本的には複数人の関係者が発生するので、目の前の人の課題はもちろん、企業全体や業界全体を俯瞰して提案することが大事になります。
法人営業のメリットは、この世界には法人営業の仕事が溢れていることです。給与もそこまで低くないため、一定数成果を残し続ける事ができれば、食えなくなることはないでしょう。
デメリットは、自分一人がよければOKという仕事ではないため、他人とコミュニケーションを取りながら仕事をしなければならない、というのが挙げられます。
営業キャリアの専門家という立場からすると、おすすめは法人営業です。個人営業も技術革新によって少なくなっていくことが予測されています。
個人ではネット通販やECサイトでの購買が日常的になってきていると思いますが、そこに営業は介在していませんよね?法人での購買は金額も高いため「ネットで知らない誰かがオススメしてるから買おう」とはなりません。
このように、法人営業は企業という概念が存在する限りあり続ける可能性が高く、キャリアとしてはオススメと言えるでしょう。
公共機関向け/海外向け営業
公共機関向け営業/海外営業として働くのが向いている人は、環境に順応することが出来るタイプの人です。前者と後者では環境のタイプは違いますが、どちらも「郷に入れば郷に従え」をすんなり受け入れるだけのマインドセットを持てるかどうかが大きな鍵になります。
メリットは、他にはない経験をすることが出来るので、尖ったキャリア資産を築くことが出来ます。逆にデメリットとしては、特殊な能力値を伸ばすことになるので、日本国内の営業職として成果を出せるような、一般的な営業能力はあまり伸ばせない点です。
営業の種類を段階で仕分け|When(どの段階でやる?)
営業段階の種類 (新規営業と既存営業)
営業段階は、新規営業=受注前(契約前)と、既存営業=受注後(契約後)の2つに大別されます。その中でも細かくいくつかの段階に分かれており、しっかり分業体制している組織だと段階ごとに営業の職種名が変わります。
新規営業
- 見込顧客の獲得(飛び込み/テレアポ/イベントや交流会参加)
- 内勤営業(インサイドセールス)
- 外勤営業(フィールドセールス)
既存営業
- ルート営業(深耕営業)
- カスタマーサクセス
それぞれ見ていきましょう。
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新規営業の特徴・必要になる能力
新規営業は、その名の通り新規のお客さんと契約する段階までの営業業務を指します。一般的に「営業」といえばこの新規営業の段階までのイメージが強いでしょう。
全く知らない人に接触して、自分たちを知ってもらうのが見込顧客の獲得(リード獲得とも言う)。
そこから定期的なメルマガや、電話(web商談)などで情報交換をしながら、興味関心を顕在化させて見込み客にする内勤営業(インサイドセールスとも言う)。
実際に訪問して商談本番を行い、契約を巻く所まで行うのが外勤営業(フィールドセールスとも言う)となります。
見込顧客の獲得(リード獲得)
全ての営業プロセスはリード獲得から始まります。分業体制を取っている企業の多くは、この見込顧客の獲得(リード獲得)をマーケティング担当者が担っている場合もあります。
この時、マーケティング担当者が担っているリード獲得から始まる営業プロセスを「インバウンド(プル型営業)」、営業担当が担っているテレアポや飛び込みから始まる営業プロセスを「アウトバウンド(プッシュ型営業)」と言います。
この記事で紹介しているのは、アウトバウンドの見込顧客の獲得 = プッシュ型営業になります。
アウトバウンドのリード獲得で必要になる能力は、何度も電話したり、何度も人に会う回数を重ねられる気合い。そして、初対面で打ち解ける能力です。
当たり前ですが、初対面でいきなり買ってもらえる見込みのある人に会えるのは運であり、確率論です。しかもぶっちゃけ見込み客に会えるのは、多くても10%未満です。飛び込み営業やテレアポなどが気合的な側面を帯びてしまうのは一定数仕方がないことでしょう。
内勤営業(インサイドセールス)
内勤営業(インサイドセールス)の特徴としては、その目新しさです。インターネットが普及する以前の世界では、基本的に内勤営業と言えば受電や荷電するだけの存在でした。
インターネットの発達によって、現在はメルマガでの情報コンテンツ配信だけでなく、webセミナーや、テレビ電話などを駆使し、色々な手法で情報提供をするような職業が生まれました。これがインサイドセールスです。
インサイドセールスも行動数が必要になりますが、電話などの短い時間内にサービス説明やヒアリングをしないといけません。そのため外勤営業が行う対面商談と比べて、端的に聞き伝える能力が問われるでしょう。
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外勤営業(フィールドセールス)
外勤営業(フィールドセールス)は、いわゆる皆さんが想像する「営業」ですね。お客さんのところに行き、商談や交渉を行い、提案して受注する。外勤営業は、見込顧客の獲得や内勤営業と比べ、より長い商談時間でお客さんに納得してもらう最後の詰めの仕事になります。
より広く深く本質的なヒアリングをする能力や、要望に合致した提案をする能力が問われるでしょう。
ITやテクノロジー系、外資や大手企業だと、分業体制が整っていることが多いです。不動産や証券など昔からある業界や、小規模な営業組織だと、リード獲得〜フィールドセールスまでを全部一人でこなしていたりしますね。
一般的な組織では、これら全てをまるっと「新規営業」と呼んでいることが多いです。
既存営業の特徴・必要になる能力
既存営業は、受注後(契約後)のお客さんにサービスを使って満足してもらい、さらなる追加受注や、新しい案件を創出する営業です。基本的には年単位で同じお客さんと接することが多く、長期的にお客さんと付き合っていく能力が必要になります。
一般的には、新規新規獲得で得られる利益より、既存顧客から得られる利益のほうが多いと言われています。(新規顧客の獲得でかかるコストより、既存顧客を継続させるコストの方が低いとも言われています。)経営的には最も重要な営業職と言っても過言ではありません。
また、お客さんの満足度に直接寄与するポジションなため、契約継続の命運を分ける企業にとっては大切な営業職と言って良いでしょう。
ルート営業(深耕営業)
ルートセールス(深耕営業)は、既存顧客に対して定期的に連絡を取ったり訪問したりしながら、関係を良くしていくことで契約継続やアップセル・クロスセルを達成していく営業職のことです。
大企業や設立からある程度年数が経った会社になるほど、ルートセールスやルート営業と呼ばれる既存営業の割合が増えていきます。
また、大手企業を顧客対象に、その企業に特化した既存営業のことを深耕営業やアカウントセールスと言う場合もあります。日本の大企業独特の組織攻略をしていく、いわばプロフェッショナル集団です。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセス(カスタマーサポート/クライアントサポート)とは、サービスを利用しているお客さんに対してのヘルプや、お客さんのニーズに対応するための新しい解決案を提案するポジションになります。
契約の更新や、アップセル(商品・サービスの数や単価を上げること)、クロスセル(まだ導入していない商品・サービスを追加契約すること)をさせることがミッションになっています。一般的には、IT/web系の企業や、外注サービスのような、売り切りではないサービスを提供している企業には必ずあるポジションですね。
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営業段階の種類ごとの向き・不向きとメリット・デメリット
新規営業
新規営業に向いている人は、初対面(はじめての会話)で、且つ限られた時間や制約のもと、自身の能力を最大限発揮出来る人ですね。
メリットとしては、新しいお客さんや案件を獲得したり、道を切り開いたりすることが出来ること。デメリットは、既存営業と比べるとどうしても不確定なことが多く、色々なリスクヘッジや準備などに時間をかけるような働き方になることでしょう。
既存営業
既存営業に向いている人は、長期的にお客さんと付き合っていく能力や、お客さんを満足させ、次々にお客さんの課題を見つけていくような能力がある人です。
また、先の深耕営業では、組織攻略が重要になるので、ロジカルな戦術でじっくりと提案をしていく能力が重要になります。
なので、ちょっと飽き性な人や、1回課題を解決したら満足してしまうような人には向かないでしょう。メリットは、新規営業と比べ不確定な要素が少ないため、ルーティンが組みやすく、働き方をコントロールしやすいことです。
デメリットとしては、営業というイメージとは裏腹に、次々に開拓していくような経験を多くは得られず、あくまでも特定のクライアントとしてのプロになっていくので、転職の際に未経験領域などに移りにくいことが挙げられます。
営業の種類を組織規模で仕分け|Where(どこに属して売る?)
営業組織の規模ごとの種類(全部自分か、分業されているか)
前項の「【When】どの段階でやる?営業の段階で種類分け」では、分業された段階ごとの営業について詳しく見てきました。どれくらいの規模の営業組織に属しているかによって、分業されているかが分かれてきます。
また、分業自体も段階ごとだけでなく、業界業種、地域や顧客属性ごとでも分かれることがあります。ここで言っている「規模」というのは顧客先企業の大きさではなく、属している営業組織の大きさですね。
大手でも地方支社だと数が少なかったり、中小企業でも営業会社なら数が多かったりします。今回は小・中規模(1〜数十人)と大規模(それ以上)に分けて考えてみましょう。
小・中規模な営業組織特徴・必要になる能力
小・中規模の営業組織では、基本的に多くのことを一人の営業担当者が担います。2~3人くらいまでなら、新規営業も既存営業も自分1人の責任で行うことが多いでしょう。5人をこえてくると徐々に分業されてきますね。そこから人数の増加によって新規営業と既存営業だけでなく、もっと細かい段階で分かれていきます。
営業組織の人数が少なければ少ないほど、多くの業務をこなす能力や、幅広いスキルが求められます。営業組織や地方支社の立ち上げなど、ゼロから立ち上げるような能力を得たい場合は、なるべく少数の営業組織で経験を積み、少人数でもマネジメントを行う経験をした方が良いでしょう。
また、小規模の組織であればあるほど、契約周りや数値管理なども営業担当自身で行うことも多いため、営業に関連する法務や経理のような幅広い知識を得ることも出来ます。特にベンチャー・スタートアップでは、開発やマーケティングにリソースをかけている場合が多く、営業組織が小さい傾向です。
大規模な営業組織の特徴・必要になる能力
大規模な営業組織であれば、営業段階や、顧客属性・規模ごとに分業体制が整っています。
組織内のキャリアパスも、順番に色々な段階の営業を経験したり、専門のスキルや業界に特化させたり、あるいは業務拡大で地方や海外の営業支店の立ち上げをしたりと、様々な進路が選べるでしょう。
大規模な組織では、業務を最適に効率化していくようなスキルが求められます。営業のプロセスや、提案の内容、日々の業務などをどんどん効率化していくことで、成果を上げやすくなるような業務スタイルになるでしょう。
外資系企業や大手企業の営業組織は基本的に大きいため、分業制でのキャリアを積みたい場合はいいかもしれません。
向き・不向き、メリット・デメリット
小・中規模な営業組織
小・中規模の営業組織に向いているのは、ゼロから何かを作り上げたり、何度も失敗したりと、粘り強いチャレンジ精神を持っている人です。
答えがない道を切り開いていきながら、幅広い業務をこなしていけるのがメリットですね。デメリットは、答えがない業務が多く、成果があがるかどうか不確定なので、大きな失敗をするリスクを孕んでいるということ。
また、曖昧な業務範囲や、日々変わる目標によって、自身の働き方をコントロールするのが非常に難しいということです。
大規模な営業組織
大規模な営業組織に向いているのは、最適化や継続がミッションになることが多いので、しっかり与えられた役割をミスなくこなす事ができる人や、効率化するのが得意な人です。
また、日々の仕事をルーティンにしながら効率化していくのが好きな人も向いてるでしょう。自分の業務が明確なので、時間のコントロールが比較的しやすいのがメリットです。
その分、業務範囲外の経験するには部署異動などをしなくてはならないので、業務の幅を広げるのに時間がかかるのがデメリットとして挙げられます。
営業の種類を理由で仕分け|Why( なぜその商品を売っている?)
企業が商品を売る理由の種類で、評価制度や営業スタンスが変わる
普通はあまり語られることはありませんが、営業のキャリア選択においてWhy(企業がなぜそれを売っているのか)の種類は非常に大事です。最も大事な要素の1つであると言っても過言ではありません。
一例として、単純に儲かるから、世の中の〇〇をなくしたいから、地域復興のため、テクノロジーの発展のため、会社を潰さないため、など、理由は様々です。
企業のWhyによって、営業スタンスだけでなく、評価制度も変わってきます。そのため、営業キャリアを歩む上では、絶対にWhyの種類を確認しておくようにしましょう。
Why(なぜ企業がそれを売っているのか)に関しては多種多様なため、カテゴリー分けすることが難しかったので、Whyを知っておいた方がいい理由や、見分け方を紹介していきます。
「売っている理由」の種類がなぜ大事なのか
大きく次の2つの観点から、売っている理由を見ることが大事だと言えます。
- 働く(営業する)スタンスが変わる
- 評価制度(報酬制度)が変わる
これら2つは、働く上で最も大事といっても過言ではありません。自分の力を発揮しやすい場所で、なるべく成果をだして良い給料を貰いたいというのは、当たり前の心理です。この種類を見分けることが大事な理由を、2つの例を使って説明していきます。
例①:お金を稼ぐのが目的の企業
企業が仮に「お金を稼ぐのだけが目的」で商品を売っている場合、だいたい利益率が高いものを選んで売っています。また「売った数」や「売上金額」を追いかけるような営業スタンスで、日々の業務を行うことになるでしょう。
当然、評価制度は数字に直結しており、数字が出せない人は全く評価されません。こういった組織の場合は、基本的に手法などの決まりはないため、とにかくどんな手を使っても売ることが推奨されます。
この企業で「社会的な貢献をしたい」あるいは「チームワークを発揮して働きたい」みたいなスタンスで働いていては、やっていけないのは明白でしょう。逆にこういった企業では、業績を上げている人は報酬もかなり多く貰えるので、数字を上げるだけのシンプルな世界で戦ってお金持ちを目指したい、といったスタンスの方には向いていると思います。
例②:世の中の◯◯な不条理をなくしたい企業
逆に「世の中の◯◯な不条理をなくしたい」と本気で企業が考えている場合、それは営業スタンスや評価制度に大きく現れます。
自分たちが提案しているサービスがまだお客さんの悩みを解決できなければ、サービスの内容を新しく企画したり、解決が難しいと判断したらあえて断ったり。
あるいは、お客さんの課題が自分達のサービスだけで解決出来なければ、他社サービスを紹介したり、他サービスと提携しながら売上を上げていく。と言ったような業務スタンスになることもあります。
もちろん営業なので、売上目標は永遠についてきます。ただし、企業の真の目的が「世の中の◯◯な不条理をなくために、ビジネスを回して持続可能なサービスにしていく」なので、例①とは全く別スタンスで業務に取り組むことになるでしょう。
こういった企業では、「お客さんが商品に満足して、更にグレードの高い商品を買ってくれて〇〇円売り上げた」あるいは「満足したお客さんが更に複数の企業を紹介してくれて、◯件の新規受注をした」といったような評価軸が存在することも多いです。
こういった企業に対して共感出来る人であれば、心の底から営業を楽しみながら働くことが出来ると思います。逆に、稼いでなんぼ、売上を出した人が勝者だ、といったような人にとっては居心地が悪いかも知れません。
「売っている理由」の種類は見落とされがち
極端な例でしたが、なぜ企業がそれを売っているのか?という理由は、キャリア選択において非常に大事であることがわかります。
ただ、重要であることがわかっても、見分け方がよくわかりませんよね。自分で調べても「ホームページを見てもいいことしか書いてない」「評判などで書かれているのは嘘かもしれない」といった疑念もあるでしょう。
あるいは、この記事の項を読みながら「営業として働いているけど、なんとなくあった日々の違和感はこれかも…」と気づいた方もいるかもしれません。
ここからは、Why(なぜ企業がそれを売っているのか)の見分け方を紹介したいと思います。
「売っている理由」の種類の見分け方
次の1〜3の順を追うと、「売っている理由」の種類を大枠〜詳細までを確認していくことが出来るでしょう。
- 社長(創業者)の考えやこれまでのキャリアを調べる
- 現場社員の入社した理由や働き方、業務スタンスを調べる
- 評価されている営業(トップ営業)の働いている理由を聞き、人柄を見る
1. 社長(創業者)の考えやこれまでのキャリア
大抵は社長が企業文化の発信者であることが多いので、1は必ず見ておきたいです。ホームページでの情報収集は勿論ですが、社長名でネット検索をするとインタビュー記事などが見つかったりするので、見逃さないようにしましょう。
証券や不動産の営業出身者が立てた企業と、エンジニア出身者が立てた企業では大きく異なりますし、同じ業界出身でも企業によっても大きく異なります。社長の出身企業なども調べながら、スタンスの本質を探りましょう。
2. 営業現場の社員が入社した理由や働き方、業務スタンス
最近ではネットで「〇〇株式会社 評判」などで検索すると、企業のクチコミ情報などが多く出てきますので、これらが参考になるでしょう。
あるいは、大手転職エージェントでは、色々な企業に内定者を出した実績があるため「どのような人が内定しやいか」という情報を多く持っています。彼らに聞いてみるのも一つの手でしょう。
ここに関しては、実際に応募して面談を設定してもらい、現場社員にお話を直接聞くのが一番信用性が高いです。転職エージェントを使うと、そのようなセッティング業務なども代行してくれます。
3. 評価されている営業(トップ営業)の働いている理由を聞き、人柄を見る
最も大事なのはここです。評価されているトップ営業は、その企業における最も模範的な営業、つまり目指すべき人だからです。逆にいえば、この人と性格や業務スタンスが合わなかったり、あまり尊敬できないようであれば、その企業で働き続けるのも、活躍するもなかなか難しいでしょう。
これは働いている社員から直接聞くか、そのトップ営業の人に時間を取ってもらって直接話を聞くしか見えてきません。直接話を聞かないといけないので手間はかかりますが、超絶大事なので絶対に聞いておきましょう。
入社後にミスマッチをしてしまう人の多くは、この工程をすっとばして内定受諾をしてしまう人です。営業職で転職する際は絶対に忘れないようにしましょう。
営業の種類ごとにオススメを具体例で紹介
企業の採用サイトや、求人票に書かれている全ての営業職種の種類は、基本的に各5Wの要素を一つ以上組み合わせて持っていることがわかりますね。
例えば大手食品系の商社の本社ルートセールス営業だとこんな感じですね。
今回の記事から、下記のような人が向いていると言えるでしょう。
・顧客との関係値を作る能力がある
・複数の人々の利害関係を調整したり、マネジメントすることが得意
・長期的にお客さんと付き合っていく能力や、お客さんを満足させ、次々にお客さんの課題を見つけていくような能力がある
・しっかり与えられた役割をミスなくこなす事ができ、効率化するのが得意
IT系の数人の小さなスタートアップの新規開拓の営業担当だとこんな感じです。
・人の相談に乗るのが好きで、ヒアリングをして相手の課題を捉える力がある
・複数の人々の利害関係を調整したり、マネジメントすることが得意
・初対面(はじめての会話)で、且つ限られた時間や制約のもと、自身の能力を最大限発揮出来る
・ゼロから何かを作り上げたり、何度も失敗したりと、粘り強いチャレンジ精神を持っている人
証券会社の地方都市支社の個人向け新規営業担当はこんな感じです。
・人の相談に乗るのが好きで、ヒアリングをして相手の課題を捉える力がある
・お客さんの悩みに共感し、居心地の良い空間を作れる人
・初対面(はじめての会話)で、且つ限られた時間や制約のもと、自身の能力を最大限発揮出来る
・ゼロから何かを作り上げたり、何度も失敗したりと、粘り強いチャレンジ精神を持っている人
イメージは掴めましたでしょうか?必ず当てはまるわけではないですが、これまでのキャリア支援や営業支援の現場を見てきた身からすると、殆どの場合はこの種類分けに当てはまっているのではないかと考えてます。
【まとめ】営業の種類は全36個!オススメを営業キャリア専門家が図表で解説
今回の5Wで最も大事なのは、これまであまり語られてこなかったWhyの存在です。営業のキャリア選択でこのWhyのマッチ度を確認せずに間違った選択、あるいは結果的に心から納得出来なかった選択をした人たちを沢山見てきました。
Whyの確認をするには、自分で情報収集し、自分で動いていくしか見えてきません。転職やキャリアを考える際は、絶対に自ら動くようにしましょう。
営業職のいいところは、企業には基本的にどこでも営業職があるということ。ただ悩みのタネになるのは、これまで見てきたように、営業職の中でも多種多様に職種があるということです。
また、営業職はブラック企業に当たりやすかったりするので、転職の際は気をつけたほうが良いでしょう。
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